秋田県鹿角市八幡平
Road Map :東北道を鹿角八幡平ICで下りてR341を南下して大場谷地の駐車場に向かう。
Route Map:大場谷地湿原を通り抜けて、山を越えて滝までを往復する。
『日本の滝百選』 登山道への危機感を心配していたが、それより先にクマとの遭遇があった。
ウィキペディアから
米代川の支流夜明島川の上流「夜明島渓谷(よあけしまけいこく)」にある。
高さ100mといわれ、日本の滝百選の一つである。
茶釜の滝は双門の滝(奈良県吉野郡)・御来光の滝(愛媛県上浮穴郡)と並んで滝までのアプローチが難しく、百選滝中の三大難攻滝の一つといわれている。滝は林道脇にある「夜明島渓谷入口」の標柱傍の駐車スペースから約5.5km(約2時間)沢登りをしたところにある。
茶釜の滝
”茶釜の滝”は双門大滝、御来光の滝と並ぶ三大難攻滝らしいので、事前に登山道情報を調べておいたが、クマとの出合いまでは判らなかった。
夜明島渓谷から沢登りで歩きたかったが、それこそ雨でも降れば帰れなくなりそうなので今日の天気では山を2回超える大場谷地からが正解だっと思っておきたい。
〔013〕茶釜の滝 (落差100m)
”茶釜の滝”へは夜明島渓谷から沢登りをして行きたかったのであるが、事前に十和田八幡平観光物産協会に問い合わせてみると、林道は現在入渓場所300m手前で復旧工事の為に通行止であるが、徒歩では入渓場所まで行ける。ただ、沢の状態はまだチェックされていない。との返事だった。
ただでさえ危ない沢の状態がチェックされていないのなら沢登りは避けた方が良さそうだ。
ならば、もう一つの行く手段である大場谷地から山越えで行く事にしたが、果たして道は通れるのだろうか? 道間違い無く行けるのだろうか?
の心配があった。
ちゃがまのたき
往路:2時間18分(入渓地点まで)
復路:2時間17分(入渓地点から)
往復:6時間09分(沢歩き、滝見時間を含む)
標高差:421m
累積標高差:1,118m
大場谷地の駐車場に着いた時には朝もやが立ち込め見通しが悪かった。お荷物の沢靴は袋に入れてぶら下げて歩くつもりであったが、小さなザックに入ってくれた。5時丁度に駐車場を出発する。
駐車場からR341を挟んだ反対側に休憩東屋があり、そこには各種の
注意書き、散策地図の案内板が立っていた。”茶釜の滝”は先に見える
山を越えて行くのだが、復路の登り返しが辛そうだ。
大場谷地湿原には遊歩道として木道が整備されていた。
東屋に立っていた簡易地図には ”茶釜の滝”のルートが書かれていたが、それは全く参考にならないものだった。後ろには難路と書かれていた。又、注意書きには単独では危険、ガイドを同伴のこと。と書かれていた。クリックで拡大します。
この写真は復路時のものであるが、クマが寝ころんでいた凹みが見られ、
周辺のミズバショウが食べられていた。
気分良く木道を歩いていると、6m先から黒い塊が飛び出して来た。
大きなクマだ! 120kg以上はあろうかのクマはこちらを見ることもなく、一目散で逃げて行った。更に奥の方からもう1匹のクマの逃げる音が聞こえた。クマ避け鈴を付けていなかったので、クマの方がびっくりした様であるが、クマが向かって来なくて助かった!
湿原の外れで木道は終わり、登山道に入って行くが、登山道はあちこちで沢に流されていた。しばらくはクマに気を付けていたが、その内に忘れてしまっていた。
道間違いはしない程度に踏み跡は付いていた。
この辺りが登山道の最高地点となる。最高地点には30分を予定していたが、倍の58分も掛かってしまった。
標高を稼ぐに従い、登りは緩やかになり、登山道もはっきりして来る。
倒木があり草が茂る場所では朝露で登山靴、ズボンがビチョビチョに濡れてしまう。 茂る草の下には踏み跡がはっきりしていた。
復路時の為にストックで草を刈りながら進んで行く。
最高地点を過ぎてからは緩やかな下りとなるが、登山道は徐々に悪くなって来る。道間違えをしない様に注意しながら下って行く。
やっと沢音が聞こえ出し、激下りの尾根道になるとくさりが張ってあっ
た。ここは急斜面であるが、路面がしっかりしているので歩き易かった。
登山道が崩壊している斜面には補助ロープが張ってあったが、緩く張られているだけなので頼りにはならなかったが、無いよりは随分助かった。
ロープにぶら下がりならが、2時間18分で沢に下り立つ。
ここで沢靴に履き替え、まずは 上流側の ”雲上の滝”を目指す。
激下りの尾根道が終わり沢が近付くと、草で登山道が見えなくなり、
ドロドロの滑り易い垂直に近い崖になる。ここにはロープが張ってあり、ロープにぶら下がらないと滑って立っても居られない。ここが一番の
難所だった。
沢登りを少しするだけで ”雲上の滝”が見えて来た。
前衛の小さな流れを越えて行く。
落差25mの渓流瀑である ”雲上の滝”に着く。
お陽さんが当たっていないのが残念であるが、好きなタイプの滝である。
流木が引っ掛かった無名滝の滝口にはロープが設置してあった。
ここはロープが無ければ通行出来ないと思う。
入渓地点に引返し、下流側に沢を下って行く。
”雲上の滝”側と違い、かなり強烈な渓谷となってくる。
更にヤバイ岩の下りが続く。ロープ様々である。
かなりヤバイ岩をロープを頼りに下って行く。
”茶釜の滝”と夜明島渓谷の合流点に着く。合流点から夜明島渓谷を見ると、しっかりとロープが整備してあり、夜明島渓谷から遡上しなかったのを後悔する。次回があるなら夜明島渓谷を歩きたい。
合流点から左岸を見ると、目の前に ”茶釜の下流の滝”が流れ落ちていた。
名物の長梯子は摩耶山の弁財天滝の比ではなく、更に長く頼りなく見えた。
振り返り下を見ると緊張感が一気に増して来る。
昇り始めの梯子はステンレスの新しい梯子になっていたが、その上の梯子は鉄製の錆びた梯子だった。この梯子の壊れるのが今日で無いことを祈りながら登って行く。
梯子のスイッチ部分は緊張する。
下から見た梯子より、更に上側に梯子が続いていた。
3時間07分にて滝見所に着き、落差100mの直瀑である ”茶釜の上段の滝”を見る。
この滝のカテゴリーを直瀑としているのも、落差100mにも疑問が残る。
長年の年月で滝水が岩肌を削り、滝が後退していったのが良く判る。
先程下って来た岩を登って行く。やはり登り方向は楽チンである。
復路も長いので早々に引き上げて、渓谷の合流点を渡渉する。
登山道の入口が判る様に目立つ所に置いた登山靴と靴下に戻る。
ここで登山靴に履き替え復路を辿ることにする。
最初の無名滝は下り時程の緊張感がなく、スムーズに上れた。
尾根筋のくさり場は急登ではあるが、路面のグリップが
良いので問題無しだった。
最大の難関は沢からの登り口であるズルズルに滑る垂
直の土斜面。ロープにぶら下がる様にして登って行く。草は下り時にかなり刈っておいたので地面は見える様
にはなっていた。
往路では気が付かなかったがヤセ尾根からは ”雲上の滝”が見えていたのだった。
登山道崩壊個所の補助ロープは切断寸前となっていた。
このロープに頼らず、足元をしっかり固めて横断した方が良い。
下りに入ると登山道は沢水で流され、少しの間、沢歩きとなるが、沢水は浅いので登山靴で問題はなかった。雨の日はどうなることやら?
登山道最高点付近はブナ林の中の穏やかな道が続く。
大場谷地湿原に戻り、クマさんと出合った場所を確認するとミズバショウに大きな凹みが出来ており、周辺のミズバショウがかじられていた。木道上にはクマのウンコもあった。
展望東屋に戻るとドライブ中の観光者が来たので、今朝、クマが居たが今は大丈夫と教えると湿原を散策せずに去って行った。
駐車場に戻り、入渓場所からの復路2時間17分、往復6時間09分にて ”茶釜の滝”を終える。累積標高差は千mを越えてしまった。
展望東屋には往路で見逃していた注意看板があり、その日付を見ると今年のつい最近のものだった。
今日のおいらはクマの方が恐れてくれて超ラッキーだったのかも知れない。
雲上の滝(落差25m)